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2009年8月23日 (日)

くどう版「月光」

しつこくてごめんなさいね〜。
「月光」のストーリー(冒頭だけね)、
自分でも考えてみました。
文章はドシロウトなので、
「へー、この絵にこういう話しがねえ・・・」
程度に思っていただければと思います。


「月光」

マイさんは、やっと泣かなくなったけど、
ぼんやりと月をながめているんだ。
今日も灯りを消した部屋で。

足音だ。

あの男の足音だ。

ぼくにはそれがわかる。

マイさんをどうしようっていうんだ。
これ以上振り回して傷つけるのか?
ぼくは戸口をにらみつけた。


A3

(以下全文。お忙しい人は上の文だけで完結で結構です。)
ぼくの大好きなマイさんは、
家に帰って来ると毎日ぼんやりと月をながめている。
時には電気をすっかり消して、
窓辺に座って重いため息をつく。
あの男が来なくなってからマイさんはおかしくなってしまった。
ぼくがどんなにすり寄って甘えても、
前みたいに笑わなくなった。

あの男はぼくの恩人といえば恩人だ。
家を飛び出し、帰りがわからなくなり、半分野良になりかけていたぼくを、
気まぐれに拾ってマイさんに会いに行った。
マイさんはぼくをしっかりと抱いていてくれたので、
とても久しぶりに安心して眠くなった。

帰り、男はぼくをもといた場所に返そうと言った。
そうすれば、もしかしたら、もとの飼い主が現れるかもしれないじゃないか。
それはありえない、とマイさんが強く言った。
男は、その日のデートがぼくの存在によって楽しく和むことだけを考えていたので、
マイさんの口調に驚いたが、
それじゃあ、友達の何人かに、飼える人がいないか聞いてみるよ、
と言った。

結局、友達の何人かは猫を飼う気なんてなくて、
ぼくはマイさんのアパートに居候することになった。
栄養失調気味だったぼくは、マイさんに毎日ごはんをもらって、
お風呂に入れてもらって、ノミの薬を塗ってもらった。
満ち足りて、清潔で、何の心配もない生活。
何かにびくびくしないで眠るのはなんていいことだろう。

男はしばらくの間、ここに通ってきたが
1年もたたないうちにだんだん来る回数が減っていった。
そしてある日からマイさんは急に涙を流すようになった。
帰って来た時、夜寝る時、朝起きる時、
何かの拍子にポロッと涙が落ちると、
それはしばらく止まらなかった。
ぼくはマイさんの膝に乗り、
濡れた頬をぺろぺろなめたけど、
そうすると涙はいっそう激しく流れた。
あの男のせいなんだろうな、とぼくは察していた。
あの男がマイさんを嫌いになったとしたら、
何て図々しい奴なんだ。
だいたいいつでも調子が良くて、
その場のノリが良けりゃいいなんて奴だ。
少年の心を忘れないなんて言っちゃってるけど、
ただ単にガキッっぽさを正当化してるだけだ。
マイさんはまじめで責任感が強いんだ。
どうかあんな男の事なんか忘れて、
また前みたいに笑ってほしい。

マイさんは、やっと泣かなくなったけど、
ぼんやりと月をながめているんだ。
今日も灯りを消した部屋で。

足音だ。

あの男の足音だ。

ぼくにはそれがわかる。

マイさんをどうしようっていうんだ。
これ以上振り回して傷つけるのか?
ぼくは戸口をにらみつけた。


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コメント

あー、なるほど!そういう表情ですかー、さすが!
嫌な奴の足音に反応した表情ってのも完璧すね。
さすが作者!ww。やっぱ、オスなんですかねw。

投稿: Firoswi | 2009年8月23日 (日) 15時12分

いやいや、まるっきりベタな発想で、
読書家(&小説家)の方にお見せするのはお恥ずかしい限りでございます〜。
なんとなく体格が良かったんで、オスにしちゃいました。

投稿: くどう | 2009年8月23日 (日) 23時18分

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